「アジア-社会」カテゴリーアーカイブ

改正育児・介護休業法成立 子どもの対象年齢を拡充支援

育児と仕事の両立を支援するため、これまで子どもが3歳になるまでが中心だった措置を拡充することを盛り込んだ改正育児・介護休業法などが5月24日、参院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立した。2025年4月以降、順次施行する。
改正育児・介護休業法は、新たに企業に対し①残業の免除対象を3歳から小学校に入学するまでの子どもを持つ親にも広げる②3歳から小学校に入学するまでの子どもを持つ親を対象に、短時間勤務制度や始業時間の変更、テレワーク、時間単位で取得できる休暇の付与など、複数の制度の中から2つ以上を設けることを義務付ける③子どもの「看護休暇」の取得を、感染症に伴う学級閉鎖や、入学式など行事への参加もできるようにし、対象を小学3年生まで広げる④男性の育児休業の取得状況の公表義務を、これまでの「従業員が1,000人を超える企業」から「300人を超える企業」に広げるとともに、目標設定を100人を超えるすべての企業に義務付けるーとしている。
一方、介護との両立をめぐっては、支援制度を利用せずに離職に至るケースが多いことから、企業に対し①家族の介護が必要となった従業員に介護休業等の制度を周知し、取得の意向を確認する②介護に直面していない従業員にも早めに制度を周知することを義務付けるーとしている。

新設「育成就労」法案 衆院通過 出入国管理法改正案

外国人労働者の技能実習に代わる「育成就労」制度と出入国管理法などの改正案が5月21日、衆院本会議で与党などの賛成多数で可決された。政府は法案が成立すれば2027年度までの施行を目指す。これにより、育成就労(3年間)を終えて試験の受かれば、さらに技能レベルが高い在留資格「特定技能」に移行できるようになる。また、永住許可制度を見直し、税や社会保険料の納付を故意に怠った場合は、永住許可を取り消すことができるようになる。

離婚しても父母で養育「共同親権」認める改正民法成立

離婚後の共同親権が可能となる改正民法が5月17日、参院本会議で可決、成立した。与党や立憲民主党、日本維新の会などが賛成、77年ぶりの見直しとなった。2026年までに施行する。
今回の改正では、離婚後の父母が協議して共同親権か単独親権かを選び、協議で折り合えない場合は、家庭裁判所が判断する。また、ドメスティック・バイオレンス(DV)や虐待の恐れがあれば、どちらかの単独親権を認めるとしている。ただ、この共同親権には専門家の間でも賛否がある。例えばDVや虐待のリスクを家庭裁判所が見抜けるかどうかなど課題も少なくない。

24〜26年度介護保険料 全国平均で3.5%増の6,225円

厚生労働省は5月14日、2024〜2026年度の65歳以上の介護保険料が全国平均で2021〜2023年度比3.5%増の月6,225円になると発表した。制度が始まった2000〜2002年度と比べて2.1倍になった。介護サービスの公示価格である介護報酬がプラス改定され、費用が増えることも響いた。
介護報酬は3年に1度改定される。2024年度の介護報酬は1.69%のプラス改定で、介護職員の賃上げ分がそのうちの6割を占めた。今回保険料を引き上げた自治体は全体の45.3%、据え置いた自治体は37.2%だった。

熊本県 「半導体ビザ特区」申請 在留資格審査の迅速化へ

熊本県は5月10日、半導体関連業務に携わる外国人高度人材が日本国内で就労するのに必要な在留資格審査の迅速化に向けて、国家戦略特区の指定申請をしたと発表した。これは、同県菊陽町で台湾の半導体受託生産で世界大手、台湾積体電路製造(TSMC)が進出、第1工場を2月に開所し、第2工場の建設決定、さらにソニーグループの進出が決まるなど関連産業集積が進んでいることを見据えたもの。これを機に海外から優れた人材の円滑な獲得を進め、地域の半導体産業の一段の振興を目指す。
一般に在留資格認定証明書の交付には最大で3カ月程度かかるといわれるが、同県によると中小企業診断士らに依頼するなどして審査を代行し、必要な期間を1カ月程度まで短縮することで、円滑な人材確保につなげたいとしている。

実質賃金 3月2.5%減 24カ月連続マイナス 過去最長に

厚生労働省が5月9日発表した3月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、1人当たりの賃金は物価変動を考慮した実質で前年同月比2.5%減少した。減少は24カ月連続で、比較可能な「1991年以降で過去最長を更新した。給与総額は伸びているが、物価高に追いつかない状態が続いている。実質賃金の減少幅は2月のマイナス1.8%から拡大した。

認知症患者 30年に推計523万人 8年間で約80万人増加

厚生労働省研究班の調査によると、認知症の患者数が2030年に推計523万人に上ることがわかった。2022年時点の443万人から8年間で約80万人増える。高齢化の進展に伴い2050年には587万人、2060年には645万人と増加する。これに加えて危惧されるのが、認知症予備軍とされる軽度認知障害(MCI)の患者数の増加だ。MCI患者は2030年に593万人、2060年には623万人まで増えると推計した。MCIは認知症の手前の段階にあたり、この予備軍を含めると、認知症患者数は2030年には1,100万人を超す。
年齢別に認知症患者の割合をみると、65〜69歳では1.1%、70〜74歳では3.1%にとどまるが、75〜79歳では7.1%に増加し、90歳以上では実に50.3%と一気に高くなる。男女別に認知症患者をみると、女性の方が高かった。85〜89歳では女性が37.2%、男性が25.2%、そして90歳以上では女性55.1%、男性36.6%だった。
厚生労働省研究班が福岡県久山町、石川県旧中島町(現七尾市)、愛媛県旧中山町(現伊予市)、島根県海士町の4地域に居住する65歳以上の高齢者を対象に調査した。

ミャンマー軍政の労働省が男性の海外就労手続き一部停止

ミャンマー軍事政権が男性国民の海外就労のための手続きを一部停止したことが分かった。複数の送り出し機関によると、軍政の労働省が地元の送り出し機関などを通じた求人票の処理を5月1日から凍結した。同省は一時的な措置とし、理由は明らかにしていない。
ただ、この停止が長引くと、日本との間で増えている旧「技能実習」や「特定技能」の資格に基づく渡航に影響が出る。同国では国軍が徴兵制を発効し、若者の国外流出が広がる中だけに、今回の措置、今後の見通しが不透明だ。

「育成就労」新設法案 衆院で審議入り 1〜2年の転職も可

問題山積だった技能実習制度に代わる外国人材の新制度「育成就労」を新設する法案などが4月16日、衆院本会議で審議入りした。転職の制限期間を業種ごとに1〜2年の間で設定できるように改める。技能実習制度では原則3年間認められていなかった転職を、本人の意向で1〜2年の就労後にできるようにする。技術を高めて長く働ける仕組みをを整備する。技能実習法や出入国管理法などを改定する。政府は2027年までの施行を目指す。

世界で1日10億食超を無駄に 日本は4,800万食相当を廃棄

国連環境計画(UNEP、本部:ケニア・ナイロビ)は2022年の世界の食品廃棄量について、「世界の家庭は1日当たり10億食超を無駄にしている」との推計を公表した。各国の統計などをもとにした推定では、2022年に世界の家庭から出た食品廃棄物は6億3,100万トンで1人当たり79kg
だった。日本では実に1日約4,800万食相当の食品が捨てられたとみられる。こうした状況をUNEPは、新興国などで「多くの人が飢餓に直面している中で、起きている世界的な悲劇だ」と警告している。