「アジア-社会」カテゴリーアーカイブ

コロナ禍で失職、生活苦に追い詰められる技能実習生

群馬、埼玉両県警が摘発した家畜や果物の盗難事件をきっかけに、新型コロナの影響による失職、住む場所をなくし、生活苦にあえぐベトナム人技能実習生の実態があぶり出されることになった。こうした人たちの中には、ぎりぎり追い詰められ犯罪に走った人もいるものとみられ、帰国できない人も少なくないという。
2015年末に約6万人だったベトナム人技能実習生は、2016年末に中国を抜きトップに。その結果、技能実習生約41万人の半数にあたる約22万人を占める。また、ベトナム人留学生は約8万人で、約14万人の中国人に次いで多い。
一方、法務省によると、失踪した技能実習生は2018年までの5年間で計約3万2,000人に上る。このうち、ベトナム人が約1万4,000人で全体の45%を占め、最多だ。安定的な労働力として、ベトナム人労働者を確保、活用していく考えなら、今こそ実態を見据えた、国としての中長期的な、かつ早急な施策が求められる。

コロナ解雇・雇い止め7万人超え 1カ月半で1万人増 厚労省

厚生労働省のまとめによると、新型コロナウイルス感染拡大に伴う解雇や雇い止めが1月末から11月6日までの累計で7万242人(見込み含む)に上った。業種別では製造業中心で、宿泊業、飲食業などが続く。
解雇や雇い止めは6月に2万人を超え、以降は1カ月約1万人のペースで増加、8月末に5万人に達していた。その後、6万人を超えた9月23日時点からおよそ1カ月半で1万人増えたわけで、増加の勢いはやや鈍化した。
ただ、これらの数値はハローワークなどの数字を集計したもので、実際には全国の自治体で把握されていない、当事者が個人で対応している解雇・雇い止めがあり、もっと多いとみられる。

中国 介護ヘルパー200万人以上育成など職業技能強化を発表

日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、中国政府はこのほど「健康養老職業技能教育計画に関する通知を発表した。ヘルスケア、介護、家事代行サービス、乳幼児ケアに従事する人材向けの教育を強化するとともに、人手不足の解消や技能レベルの向上を目指す。
これによると2020年からの3年間で、介護ヘルパー200万人以上の育成はじめ、合わせて500万人以上の育成、教育を目標に掲げ、とりわけ実務能力の訓練に重点を置くとしている。介護分野では要介護・認知症高齢者向けのケア、リハビリサービスなどに関する教育を強化する。
中国人力資源・社会保障部によると、中国で介護を必要とする高齢者数は約4,000万人以上とされている。これに対し、現在ヘルパーの数は30万人にとどまっており、介護分野の人手不足は深刻の度を増している。このため中国政府は高齢者事業を管轄する民生部だけでなく、教育部、国務院弁公庁などの部門でも介護分野に関連する介護人材の育成策を取り上げ、今後取り組みが一段と強化される見込み。

外国人の技能実習制度の矛盾浮き彫り コロナ解雇で”転職”解禁

新型コロナウイルス感染拡大の影響で外国人技能実習制度の矛盾が改めて浮き彫りになっている。技能実習制度は本来、日本の技術を習得してもらい帰国後、相手国の発展につなげてもらうのが目的で、企業などに受け入れられているもの。したがって、実習生は別の業種への転職はできず、実習先を変わることも自由にできないはずだった。
ところが、この実習生が”解雇”されるケースが相次ぎ、国は救済措置として人手不足の別の産業に振り向ける形での”転職”を解禁した。これにより、実習生が労働力として扱われる実態がコロナ禍でさらに鮮明化。技能実習制度本来の趣旨とかけ離れてしまっている。それだけに専門家らは「技能実習制度は直ちに廃止すべきだ」と指摘している。

19年の外国人の上陸拒否数16%増の1万647人 出入国在留管理庁

日本の出入国在留管理庁のまとめによると、2019年の外国人の上陸拒否数は1万647人で、前年比1,468人(16.0%)増加した。7年連続で増加した。
上陸拒否の理由は、不法就労が目的であるにもかかわらず、観光、短期商用、あるいは親族・知人訪問と偽って上陸申請している疑いがあるなど、入国目的に疑義が認められた者は8,890人で全体の83.5%を占めた。上陸拒否者の国籍・地域をみると、中国、タイ、トルコの上位3カ国・地域で合計6,088人で、全体の57.2%を占めた。中国が前年の2,092人から3,765人(前年比80.0%増)へ大幅に増加した。
上陸拒否数を空港別にみると、第1位は成田空港で5,487人と全体の51.5%を占めた。第2位は関西空港で2,022人(全体の19.0%)、第3位は羽田空港で1,344人(同12.6%)、以下、中部空港が964人(同9.1%)、福岡空港が262人(同2.5%)の順となっており、これら上位5空港で全体の94.7%を占めた。

日本郵便 非正規社員の待遇差は「不合理」最高裁が判断

日本郵便の契約社員らが正社員との待遇格差について訴えた3つの裁判の上告審判決で、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は10月15日、扶養手当や有給の夏・冬休みなどの審理対象になった5項目の支給をすべて認めた。
継続的な勤務が見込まれる契約社員の労働条件が、正社員と違うのは「不合理」などと判断した。いずれも裁判官5人の全員一致の結論。
日本郵便の従業員約38万人の約半数の18万4,000人が非正規社員という巨大企業に対する、待遇格差についての初の最高裁の判断だった。

外国人介護留学生2,395人で最多更新 養成施設の3人に1人に

公益社団法人、日本介護福祉士養成施設協会(所在地:東京都)のまとめによると、2020年4月に国家資格の介護福祉士を養成する専門学校や大学に入学した外国人留学生は2,395人で過去最多を更新した。日本人を含めた全体の入学者は7,042人で、3人に1人が外国人留学生ということになる。

契約社員の退職金なし「不合理な待遇格差」に当たらず 最高裁

最高裁は10月13日、非正規労働者の待遇改善につながるかも知れない2つの訴訟で、いずれも元非正規労働者の申し立てを退ける判断を示した。元契約社員、アルバイトへのそれぞれ退職金、賞与「なし」は不合理と認めなかった。
一つは東京メトロ子会社のメトロコマースの元契約社員が退職金の支払いを求めた訴訟の上告審判決。最高裁第3小法廷は会社側が退職金を支給しなかったことが「不合理な待遇格差」には当たらないとの判断を示した。二審・東京高裁は、不支給を不合理な格差だと認定し、正社員の25%の水準の金額を支払うべきだとの判断を示し、今回最高裁の判断が注目されていた。
また、最高裁は同日、別の、4年間フルタイムで大阪医科大学の研究室で秘書のアルバイトをしていた50代の女性の訴訟でも、大学側のアルバイトへの賞与の不支給について「不合理ではない」との判断を示した。
2019年時点で2,165万人に上っている非正規労働者、およびその支援団体・関係者らは、政府が掲げる”働き方改革”のもと、一歩踏み出した新しい最高裁の判断を期待していただけに、失望の声が大きい。

コロナ関連倒産 全国で累計600件 うち負債1,000万円以上571件

東京商工リサーチのまとめによると、10月7日12時時点で新型コロナウイルス関連倒産は負債額1,000万円以上および、負債額1,000万円未満を合わせ、全国で累計600件に達した。このうち負債額1,000万円以上の経営破たんは571件(倒産513件、準備中58件)、負債額1,000万円未満は29件だった。

問題山積!入国制限緩和後も戻らない外国人技能実習生

全世界を対象にした入国制限が10月1日緩和され、ビジネス関係者や技能実習生、留学生など中長期の在留資格を持つ外国人が入国できるようになった。しかし、技能実習生らが新型コロナウイルス禍に見舞われる以前のように、それぞれの現場に戻るには問題が山積している。したがって、問題は政府の”入国制限緩和”→渡航・来日→日本の職場(現場)という流れにはならず、技能実習生らが一定数日本の職場に戻ってくるには、かなり時間がかかりそうだ。
ちなみに9月末までの2カ月間にベトナムなどから新たに入国した技能実習生は1,793人となっており、前年同期と比べおよそ95%減少している。
この大きな要因は、技能実習生らが日本に来たくても簡単には来れない事情があるためだ。この点、技能実習生の受け入れを担う監理団体によると、コロナ禍前と比べ経費が大幅にかかるようになったからだ。例えば航空券が例年の8~9倍に値上がりしているほか、入国した実習生が14日間待機する宿泊先や、日本語研修などの人材を新たに雇用ための費用を工面する必要があるのだ。このため、監理団体自体もそれだけの準備をしなければ安易に業務を進められないというわけ。
日本の受け入れ企業にも事情がある。これは業種により、コロナ禍によるダメージの差異で事情は違ってくるが、宿泊業や飲食業では当該企業の存続が危ぶまれる状況に陥ってるところもあり、今すぐには働き手は求めていない。反面、担い手が不足している農業では、技能実習生が当該事業者の農作業全般を、そしてひいては当該地域の農業を支えている側面がある。このため、こうした当該事業者はすぐにも働き手がほしいのだが、無理なことで持ちこたえられず、廃業を検討しているケースもあるという。
法務省出入国在留管理庁によると、2019年12月時点で日本で受け入れている技能実習生は、およそ41万1,000人に上り過去最多となっていた。このうち農業の現場ではおよそ3万2,000人に上っていた。