「アジア-社会」カテゴリーアーカイブ

日本の高齢化率 25年30%,40年35.3%に,就労支援が課題

日本の少子高齢化、先端医療技術の活用による長寿化などにより、人口減少下での高齢者人口の増加で高齢化が加速している。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、総人口に占める65歳以上の割合は2025年に30%となり、第2次ベビーブーム世代の1971~1974年生まれが65歳以上になる2040年には35.3%に達すると見込まれている。
総人口に占める高齢者の割合は9月15日現在、前年比0.3ポイント上昇して29.1%となり、国連の調査で日本がトップで、2位以下(2位がイタリアの23.6%、3位がポルトガルの23.1%)と大きな開きがある。世界でも異例の高齢化率となっている。
政府は人口減に伴う労働力不足対策や、社会保障の「支える側」を増やす目的で、働く意欲のある高齢者の就業機会の確保に力を入れている。2021年4月施行の改正高年齢者雇用安定法では、70歳までの就労機会の確保を企業の努力義務として定めている。しかし、コロナ禍で中小企業の多くは生き残りが精一杯で、雇用確保さえ政府の財政支援なしでは困難な状況。それだけに、改正法の履行は先送りとなっている。高齢者の生きがいづくりのためにも、働く場の多様な選択肢が求められる。

高齢者人口 過去最高の3,640万人 総人口の29.1%に上昇

総務省がまとめた9月15日現在の65歳以上の高齢者の推計人口によると、前年比22万人増の3,640万人、総人口に占める割合は同0.3ポイント上昇して29.1%となり、いずれも過去最高を更新した。また、高齢者の就業者数およびその割合も過去最高となっている。
高齢者の男女別内訳は男性1,583万人、女性2,057万人。世代別では70歳以上は前年比61万人増の2,852万人、80歳以上は同46万人増の1,206万人だった。日本全体の9月15日現在の推計人口は1億2,522万人で、前年より51万人減少した。
国連の調査では、2021年の総人口に占める高齢者の割合は日本がトップで、2位がイタリア(23.6%)、3位がポルトガル(23.1%)などとなっている。
このほか、2021年1月公表の労働力調査を基にした同省の集計では、2020年の高齢者の就業者数は前年比14万人増の906万人で、比較可能な1968年以降では過去最多を更新した。高齢者の就業者数の割合は前年比0.2ポイント上昇して25.1%に上り、4人に1人を超えた。15歳以上の就業者の総数は6,676万人で、このうち高齢者の割合は過去最高の13.6%となった。

100歳以上 過去最多の8万6,510人 男性は初の1万人超え

厚生労働省は9月14日、100歳以上の高齢者が過去最多の8万6,510人になったと発表した。1年前に比べて6,060人増えた。男性は初の1万人を超えた。ただ、女性は男性の7倍以上に上り、全体の9割に迫った。最高齢は女性が118歳、男性は111歳だった。100歳以上の高齢者は、医療技術の進歩などを背景に1971年から51年連続で増え続けている。

世界の認知症患者5,520万人 50年に2.5倍の1.39億人に

世界保健機関(WHO)の試算によると、世界全体の認知症患者は2019年時点で5,520万人に上っている。今後も増え続け、2030年に7,800万人、そして2050年には1億3,900万人と、2019年の約2.5倍に達すると予測している。
高齢社会の進行で避けられないことだが、幅広い世代が不公平感なく過ごすには、公的介護制度はじめ社会全体で患者や家族を支える、充実した仕組みづくりが不可欠だ。超高齢社会を迎えている日本だけに、いつまでも課題の先送りは許されない。

ILO 世界人口の53%が社会保障なく、格差広がる傾向

国際労働機関(ILO)が9月1日公表した報告書によると、世界人口の53%に相当する約40億人が、失業手当や年金などの社会保障が全くない状況に置かれていることが分かった。また、報告書は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、社会保障面でも先進国と発展途上国の間の格差が広がる傾向にあると指摘している。

特定技能外国人 6月末時点で2万9,144人 ベトナムが最多

出入国在留管理庁は8月25日、「特定技能」の在留資格で日本に在留する外国人数が2021年6月末時点で2万9,144人に上ったと発表した。3月末の2万2,567人に比べ29%増えた。国籍別にみると、ベトナムが1万8,191人で最多だった
業種別では飲食料品製造業が1万450人と最も多かった。技能実習生などから在留資格を切り替えた外国人が増えた。なお、新型コロナウイルスの水際対策で外国人の新規入国は原則止まっている。

ミャンマー人サッカー選手を難民認定へ 緊急措置

出入国管理当局が、サッカーのミャンマー人選手を難民認定することが分かった。日本とのサッカーワールドカップ予選出場のため来日後、帰国を拒否して難民認定の申請をしていたピエ・リヤン・アウン選手(27)について、緊急措置として近く正式に決定し、同選手に結果を伝える見通し。
ミャンマーでは国軍に反発する市民への厳しい弾圧が続いている。入管当局は、国軍への抵抗の意思を示し、3本指を掲げる姿が大きく報じられた同選手が帰国すれば、迫害を受ける可能性が高いと判断したとみられる。

中国21~25年の高齢・託児施設の整備方針を発表

日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、中国の国家発展改革委員会はこのほど、「第14次5カ年(2021~2025)計画における高齢化社会と託児施設の建設実施案」を発表した。
高齢化の加速や「二人っ子政策」による育児・託児負担の増大を背景に、高齢者サービス・託児サービスへのニーズが高まっていることを踏まえ、2025年までに高齢者・託児施設を整備。在宅・社区(コミュニティ)・施設が連携した両サービス体系の構築・整備を目指す。
公的高齢者・託児施設を建設する際に、それぞれ平均投資額の3割、6割、8割を中央財政から補助する。社区の施設や高齢者サービスを展開している医療機関については、ベッド1床ごとに2万元(約34万円、1元=約17円)、民間企業による託児施設については、乳幼児の預かり枠を1枠増やすごとに1万元を補助する。
中国では高齢者は今後5年間で、60歳以上の高齢者が毎年約1,000万人ずつ増加するとされている。

「黒い雨」訴訟 国が上告断念 政治決着で確定へ

菅義偉首相は7月26日、原爆投下後に降った放射性物質を含む「黒い雨」訴訟を巡り、原告84人(うち14人は死亡)全員を被爆者と認めた広島高裁判決について、上告を断念すると表明した。
これにより、原告が「いずれも黒い雨に遭ったと認められる」と結論付けて全員に被爆者健康手帳を交付するよう命じた広島高裁判決が28日の上告期限を前に政治決着で確定する見通しとなった。
広島県・市の湯崎知事と松井市長は政府に対し、被爆者の高齢化などを理由に、上告断念による裁判の終結と幅広い救済への政治判断を迫っていた。

コロナ禍で世界1億1,400万人失業 若者は深刻

OECD(経済協力開発機構)の分析によると、新型コロナウイルス禍により2020年に世界で1億1,400万人が職を失った。OECD加盟38カ国全体の失業率は高止まりしており、雇用情勢が感染拡大前の水準に戻るのは2023年以降とみている。
OECDによると、仕事に就いている人と失業者との格差は各国で拡大し、学校に行けず、仕事も見つからず、職業訓練の機会もない15~29歳の若者は約300万人増えた。
2020年2月のOECD加盟国全体の失業率は5.3%だったが、世界保健機関(WHO)が「パンデミック」の発生を宣言すると、同年4月に8.8%に急上昇。2021年5月に6.6%に低下したが、いぜんとして高水準で、若者の失業率は13.6%と飛び抜けている。