「アジア-社会」カテゴリーアーカイブ

「準難民」受け入れ 改正入管法成立 不法滞在の扱い厳格化

紛争地から逃れてきた人を「準難民」として受け入れる改正入管法が6月9日の参院本会議で可決、成立した。
改正案は2つの柱からなる。一つは紛争地からの避難民を難民に準ずる「補完的保護対象者」として受け入れる枠組みの創設。この補完的保護対象者には難民と同様に定住者の在留資格を与えたり、国民年金を支給したりする。就労の制限もなく、永住許可の要件も緩和する。
もう一つの柱が不法滞在者の扱いの厳格化。難民認定を申し出ると本国への送還手続きを止める制度を改める。政府はこれまで在留資格を失った外国人が難民申請を繰り返し、日本での滞在延長に利用する点を問題視。今回の改正法では送還手続きを止められる申請を原則2回までと定めた。入管当局は相当の理由のある資料が提出されない限り3回目の申請を認めず、強制送還の手続きに入る。

改正旅館業法成立 宿泊客に感染対策で予防措置の要請可能に

宿泊施設としてこれまで対応に限界があった顧客への感染対策で、発熱などの症状がある顧客に感染対策を要請できるようにする改正旅館業法が6月7日、参院本会議で可決、成立した。この結果、顧客に新型インフルエンザ等の感染症流行時に限り、検温やマスク着用といった対応を要請できるほか、医療機関の受診や診療結果の報告を求めることも可能になる。また、感染が発覚した場合には宿泊を拒めるようにもする。年内に施行する。
従来は、顧客の感染防止策は任意だった。そのため、新型コロナウイルス禍では発熱のある宿泊客が旅館の求める対策に応じず、従業員や他の顧客の安全確保に支障をきたすケースがあった。

22年の合計特殊出生率1.26 過去最低 7年連続低下 厚労省

厚生労働省のまとめによると、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率が、2022年は1.26にとどまった。これは2005年と並んで過去最低で、低下は7年連続。新型コロナウイルス禍で、本来の男女間の恋愛、そして結婚、出産が、感染リスクを恐れて大幅に後退、あるいは見合わせるケースが増えたことが影響したとみられる。少子化・人口減少カーブを少しでも緩やかに、そして出産や子育てなどへの若年層の不安をどう取り除いていくのか?社会や経済の活力を維持できるのか?まさに瀬戸際だ。

東大 川崎市とナノ医療・看護ケアイノベーションで基本協定

東京大学(本部:東京都文京区)は5月31日、公益財団法人川崎市産業振興財団(所在地:神奈川県川崎市)および川崎市とともに、ナノ医療および看護ケアイノベーションの推進と普及に向けて協力する基本協定を締結したと発表した。3者協働により、医療・ケア人材の不足と医療従事者への過度な負担集中といった社会課題の解決につながる新たなケアサービス・システムの創出に貢献する。

75歳以上の医療費「原則2割に引き上げ」財政審が検討要請

財務相の諮問機関、財政制度等審議会は5月29日、政府の少子化対策の財源確保へ歳出改革の徹底を求める意見書をまとめた。この中で75歳以上の高齢者の医療費を巡って、窓口負担を原則2割に引き上げるよう検討すべきだと要請した。ただ、高齢者の負担増には反発も強く、議論の行方は見通せない。

23年出生数70万人台前半か 1〜3月は5%減の18万2,400人 減少加速

日本の人口減少が、政府の推計をさらに前倒しで進みそうな数値が発表された。厚生労働省が5月26日発表した人口動態統計(外国人含む速報値)によると、2023年1〜3月の出生数は18万2,477人だった。1899年の統計開始統計開始以降初めて80万人を割り込み、衝撃を受けた2022年の同期の19万2,211人を5%下回った。
出生数は婚姻件数に2年半ほど後ずれして顕在化する。新型コロナウイルス禍で2020年、2021年と結婚が大幅に減少していることを考え合わせると、出生数は下振れする可能性が高い。
国立社会保障・人口問題研究所が4月に公表した将来推計人口で、2023年の日本人の出生数は最も実現性が高いとした中位推計で76万2,000人。しかし、専門家は1〜3月の出生数のペースが続くとこの中位推計を下回り、2023年の出生数は70万人台の前半になるとの予測も出ている。

雇用保険 28年度までにパート・バイトにも拡大, 要件緩和へ

政府は5月25日、雇用保険の対象者を広げ、パートやアルバイトなどの短時間労働者も雇用保険に入りやすくする見直しを2028年度にも始める方向で検討に入った。要件となっている所定労働時間「週20時間以上」より短く働く人が、失業給付や育児休業給付を受け取れるようにし、安心して出産や子育てができる環境を整える。政府が進める次元の異なる少子化対策の一環。働き方が多様なする中、非正規の立場で働く人の生活基盤やセーフティーネットを強化する。

東京都内で初のフリーランスサミット 安心して働ける環境づくりを

フリーランスが安心して働ける環境づくりを進めようと、労働団体の「連合」やフリーランスが多く働く業界団体などでつくる実行委員会が5月19〜22日、東京都内で安心して働ける環境づくりについて議論する「フリーランスサミット」を初めて開いた。
19日のパネルディスカッションでは、海外のフリーランスが多いコンテンツ産業の働き方が紹介された。また、フリーランスとして働く際の注意点に関するセミナーも開かれ、大学の専門家がトラブルに至る事例を取り上げて説明、注意を呼びかけていた。このほか、弁護士による相談会やフリーランス同士の交流会が行われた。

後期高齢者の健康保険料上限14万円引き上げ 改正健保法成立

一定の収入がある75歳以上(後期高齢者)の健康保険料を段階的に引き上げる改正健康保険料が5月12日、参院本会議で賛成多数で可決、成立した。出産育児一時金の財源の一部に充てられる。
保険料の引き上げは年金収入が年153万円を超える人が対象。75歳以上の約4割にあたる。上限額もこれまでより14万円上げて年80万円にする。2024年度から段階的に負担を増やす。

2月の生活保護申請20.5%増 20年4月以来の高水準 厚労省

厚生労働省によると、2月の生活保護申請は1万9,321件で前年同月比20.5%増となった。増加は2カ月連続。伸び率が20%台となるのは新型コロナウイルスが流行し、雇用情勢が悪化した2020年4月以来となる。ただ、2月の申請件数自体は1月より減少している。
2023年2月から生活保護を受給したのは、1万7,300世帯で前年同月比13.6%増。それ以前から受給しているものを含めた総世帯数は164万2,915世帯となり、0.1%増だった。