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23年賃上げの伸び率 世代間で差 男女とも20代の伸び大

内閣府が厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに行った分析によると、2023年の賃金動向に世代間で差があることが分かった。これは時間外や休日手当を除く「所定内給与」の前年からの伸び率を算出したもの。
大卒の男子では20代前半がプラス3.1%、20代後半がプラス3.4%だった。これに対し、30代後半は0%、40代が1%台、50代前半はマイナスだった。また女子でも20代前半がプラス2.1%、20代後半がプラス1.9%だった。これに対し30代前半はプラス0.3%、40代はマイナスだった。
人材獲得競争の激しい若い世代で伸び率が高くなった一方で、中堅やベテラン層では伸びが小さくなるなど、世代によって差が出る結果となった。一方、人手不足に伴い、シニア世代の処遇を改善する動きも出る中、男性の60代前半はプラス6.8%、女性の60代前半はプラス11.2%となった。

24年出生数70万人割れ 日本総研推計 国の想定14年前倒し

大手シンクタンク、日本総合研究所は2024年の日本人の出生数について、多くてもおよそ69万8,000人にとどまり、国が統計を取り始めて以降、初めて70万人を下回る推計を発表した。
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の予測では、出生数が70万人を下回るのは14年後の14年後の2038年となっていて、今年70万人を下回れば国の予測より14年早く、想定を大幅に上回るペースで少子化が進むことになる。
推計した同研究所では、結婚や出産を必ずしもしなくてもよいとする価値観の変化に加えて、新型コロナ禍で出会いの機会が少なく、結婚する人が大きく減少した影響が続いていると分析している。

「育成就労」で外国人確保 技能実習に代わる改正法成立

技能実習に代わる外国人材の新制度「育成就労」を新設する出入港在留管理法などの改正法が6月14日、参院本会議で可決、成立した。自民、公明の与党や日本維新の会、国民民主党などが賛成した。新制度は業種ごとに1〜2年の間で定めた制限期間後は、現制度で原則認めていない本人意向の転職が可能になる。ただ、転職には日本語の修得状況、技能などの条件がある。
育成就労は人材育成に加え、人材確保を目的として明記した。期間は3年間。試験などの条件を満たせば最長5年就労できる「特定技能1号」、その後に在留資格の更新制限がない「特定技能2号」になることも可能だ。特定技能2号になると家族を帯同でき、将来は永住権も申請できる。

介護事業者の1〜5月倒産 前年比76%増の72件 過去最多

東京商工リサーチのまとめによると、倒産した介護事業者の2024年1〜5月累計は前年同期比76%増の72件に上り、過去最多を更新した。最も多かったのは「訪問介護」の34件で、「通所・短期入所」の22件が続いた。慢性的な人手不足と、新型コロナウイルス禍で受けた融資、実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)による負債の増加が”重荷”となった。

社会保障給付費 高齢者人口ピーク40年に165兆円 民間試算

民間のシンクタンク、三菱総合研究所は、年金、医療、介護などの社会保障給付費が、高齢者人口がピークを迎える2040年には165兆円に上るとの試算を公表した。これは132兆円だった2020年度の1.25倍。このうち医療や介護の給付費は2020年度の1.5倍近い80兆円に達し、制度の持続可能性を図るとともに、財政の負担の抑制を図るため、制度改革が急務だとしている。

エーザイ「レカネマブ」継続投与へ申請変更 FDAが受理

エーザイ(本社:東京都文京区)は6月10日、アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」について、承認の一部変更が米食品医薬品局(FDA)に受理されたと発表した。今回承認を目指す継続投与は、レカネマブを2週間に一度投与する初期投与を一定期間実施した後、投与頻度を月に1度に減らして治療を継続するもの、投与を中止すると、Aβ(アミロイドベータ)の蓄積が始まることが治験で確認されており、エーザイは継続投与が必要とみている。

改正入管法 6/10施行 難民申請中の強制送還可能に

難民認定の申請中でも強制送還できるようにする、様々な問題含みの「改正出入国在留管理法」が6月10日から施行される。従来の、申請手続き中は送還を停止する、の規定が改められる。3回目以降の難民申請者が、本国に紛争の発生など情勢に変化があった場合など「相当の理由がある資料」を提出、もしくは口頭の説明がなければ、強制送還の手続きが進められることになる。
法務省によると、国外への退去が確定しても出国を拒む「送還忌避者」は2022年末時点で4,233人に達している。2021年末の3,224人のうち、およそ半数が難民認定の申請者だった。

ヤングケアラー支援法成立 国・自治体の努力明確化

日常的に家族の世話や介護を担う子ども「ヤングケアラー」への支援強化を盛り込んだ改正子ども・若者育成支援推進法が6月5日、参院本会議で与党の賛成多数で可決、成立した。国や自治体が18歳以上も含めたヤングケアラー支援に努めることを明確化した。
改正法は引きこもりなど年令を問わず「社会生活に困難を有する子ども・若者」に対して、国や自治体が支援に努めることを規定。新たにヤングケアラーもその対象として明記した。

ツクイとパナソニック ICT活用 次世代デイサービスで協業

デイサービス事業所数大手のツクイ(本社:横浜市)とパナソニックコネクト(本社:東京都中央区)は6月4日、高齢化の進展を見据え、カメラ映像を活用した次世代デイサービスの実現に向けて共創を開始すると発表した。
第1段階として、2024年7月に開所するツクイ三郷早稲田(所在地:埼玉県三郷市)とツクイ市川宮久保(所在地:千葉県市川市)のデイサービスの2事業所内に、クラウド型現場映像活用サービス「Cameleo」、顔認証クラウドサービス「KPASクラウド」などカメラや顔認証などを使ったシステムを導入し、運用を始める。第2段階(2025年度予定)では、応用環境として基礎環境で導入したカメラ映像を解析する様々な可視化サービスを導入していく。

日本生命 ニチイHDの買収完了 約2,100億円で全株取得

日本生命は6月3日、国内介護大手のニチイ学館を傘下に持つニチイホールディングス(HD)のほぼ全株式を取得し、買収が完了したと発表した。ニチイHDの全株式を保有する米ベインキャピタル系ファンドが保有していた発行済株式の99.6%を取得した。買収金額はおよそ2,100億円になる見通し。
生命保険会社による異業種の大手企業の買収は異例で、日本生命にとって経営の大きな転換点となる。日本生命はこれにより、介護、医療事務、保育などの事業をグループの中核事業に育成し、収益の多角化を図る。