「介護」カテゴリーアーカイブ

「在宅医療」患者 23年は推計23.9万人で過去最多に 厚労省

厚生労働省によると、高齢者などが自宅などで医師の診察を受ける「在宅医療」の患者が2023年は1日あたり推計23万9,000人と過去最多になったことが分かった。患者を世代別に見ると、75歳以上の後期高齢者が1日あたり20万2,500人と、全体のおよそ85%を占めている。
在宅医療を提供している医療機関の内訳は、一般診療所が最も多く51%と半数を占め、以下、歯科診療所40%、病院9%だった。このほか、医療機関に入院している患者数は1日あたり推計117万5,300人と、現在の調査方法となった昭和59年以降で、最も少なくなった。

団塊の世代全員 後期高齢者に 医療・介護体制拡大が課題

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2025年は約800万人が新たに75歳以上となり、第1次ベビーブームの時代(1947〜1949年生まれ)全員2,154万人が後期高齢者となる。その結果、後期高齢者の75歳以上が、全人口のおよそ5人に1人の割合となる。
近年、経済・社会問題として様々に指摘されてきたことだが、いよいよ「2025年問題」に直面する年となる。医療や介護を必要とする人がますます増加し、国としてこうした人たちを支える体制をどのように拡大、充実させていくかが大きな課題となる。

23年度施設の高齢者虐待31.2%増の1,123件と最多更新

厚生労働省の調査によると、2023年度に高齢者が介護施設などの職員から虐待を受けた件数は、前年度比31.2%増の1,123件だった。3年連続で過去最多となり、2007年度の調査開始以降、初めて1,000件を超えた。
職員らによる虐待と特定できた被害者は2,335人。内訳は「身体的虐待」が51.3%で最も多かった。次いで「心理的虐待」が24.3%だった。

技能実習生など外国人労働者の14%トラブル抱える 厚労省

厚生労働省は12月26日、技能実習生や特定技能、永住者ら日本で働く外国人労働者について、就職・転職状況や賃金など労働実態に関する初めての調査結果を公表した。この結果、外国人労働者の14.4%が、紹介費用や仕事内容などを巡って、トラブルを抱えていたことが分かった。
調査は2023年10〜11月に行い、労働者1万1,629人と雇用する3,534事業所から回答を得た。労働者の在留資格別では技能実習が最多の22.8%、永住者が18.9%、特定技能が11.9%だった。
まず就労上のトラブルの有無を尋ねると、14.4%が「ある」と回答。内容別(複数回答)では「紹介会社(送り出し期間含む)の費用が高い」が19.6%で最も多かった。次いで「説明以上に高い日本語能力を求められた」(13.6%)、「仕事内容について説明がなかった」(7.3%)など、受け入れ事業所側の説明の不備を訴える回答も目立った。
月の平均賃金は26万7,000円で、特定技能が23万2,000円、技能実習が20万4,000円。大学の研究職や経営者など高度専門職は60万円で頭抜けて高かった。
事業所が外国人を雇用する理由(複数回答)は「労働力不足の解消・緩和」が64.8%で最多。雇用上の課題では、「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が44.8%で突出して多かった。
外国人労働者の43%就職・転職の方法として、SNSを含む「知人・友人」を挙げており、ハローワークを利用したのはわずか3.9%にとどまっている。

23年度障害者虐待認定 最多の3,477件 前年度比398件増

厚生労働省は12月25日、全国の自治体が認定した2023年度の障害者虐待は、前年度比398件増の3,477件となり、過去最多を更新したと発表した。被害者は4,641人に上った。
加害者別でみると、家族ら養護者が2,283件、施設職員が1,194件。類型別では身体的虐待が2,162件で最も多く、心理的虐待、経済的虐待が続いている。父親と施設職員の虐待で2人が亡くなった。

東京都 子育て支援拡充 来年度5万円増額 小池知事が表明

東京都の小池百合子知事は12月25日、来年度、子育て世帯への経済的支援を5万円増額する考えを明らかにした。都は現在、子ども1人あたり妊娠を届け出たら6万円相当、出産したら10万円相当の育児グッズをカタログから注文できるほか、子どもが1歳から2歳のときには6万円相当の商品券やクーポンなどを区市町村を通じて受け取ることができる。これを来年度は5万円増やし、合わせて27万円にし子育てを応援したいとしている。
都はこのほか、「018サポート」として、昨年度から18歳以下の子どもを対象に毎月5,000円を給付していて、これらと合わせて子育て支援策を更に拡充していく考え。

厚労省 子どもの介護も「休業対象」認定基準明記へ

厚生労働省は、企業などが従業員の介護休業を認定する際に使う「判断基準」に、子どもの介護も対象だと明記する方針を固めた。来年度からの運用を目指す。現行の基準は高齢者介護を前提としており、日常的に医療行為が必要な「医療的ケア児」や障害児を育てる労働者から、申請しづらいとの声が相次いでいた。
介護休業は2週間以上、常に介護を必要とする家族がいる場合、1人につき最大93日取得できる。ただ、高齢化が進む中、家族の面倒を見るためために仕事を辞める「介護離職」が問題となって導入された経緯があり、高齢者介護を念頭に置いている。したがって、厚労省が定めた判断基準の中には「認知症高齢者等」との記載は出てくるが、子どもに関する文言はない。
20歳未満の医療的ケア児は、医療技術の進歩により増加し、2008年に1万人を超え、2023年は約2万人と推計されている。身体障害や知的障害を持つ18歳未満も37万人超に上る。

「マイナ保険証」利用登録の解除申請1万3,000件余に

厚生労働省は12月19日開かれた専門部会で、11月末までに「マイナ保険証」について、利用登録を解除する申請が1万3,000件余りに上ったことを明らかにした。マイナ保険証の利用に不安を感じた人たちが登録を解除しているとみられる。
12月2日に健康保険証の新規発行が停止され、本格的な運用が始まったことで、今後さらにマイナ保険証の利用登録が進むとみられる。事実11月末までの1カ月間でマイナ保険証への利用登録はおよそ127万2,000件増加した。ただ、その一方で利用登録を解除する動きも出ているのだ。マイナ保険証の利用登録を解除すれば、従来の健康保険証と同様に使える「資格確認書」というカードで医療機関での診療は受けられるから、大きな問題はない。

25年4月 帯状疱疹の予防ワクチン 定期接種に 原則65歳対象

厚生労働省は12月18日、帯状疱疹を予防するワクチンについて、2025年4月、公費で補助する「定期接種」とすることを決めた。原則65歳が対象だが、65歳を超えた人は2029年度までの5年間に接種機会を設ける。帯状疱疹は加齢や疲労などによる免疫力低下で発症。ピリピリした痛みや水ぶくれを伴う発疹を招く。

厚労省 高齢者に「アシストスーツ」貸与 モデル事業実施

厚生労働省は、全国20か所程度でシルバー人材センターの高齢者に、足腰などを補助して負担を軽減する「アシストスーツ」を貸与するモデル事業を実施する方針を固めた。体力面で不安を抱える高齢者が働き続けられるように支援するのが狙い。厚労省は今年度の補正予算案に関連経費1億9,000万円を計上している。65歳以上の就業者数は、2023年時点で914万人で、20年連続で前年を上回っている。
アシストスーツは、モーターなどが駆動する力で重い物を持ち上げるのを助ける電動型のほか、ゴムの伸縮などを利用して腰や腕を支えてくれる簡易なタイプもある。