ケアリーバー(社会的養護経験者)の調査によると、虐待などのため親元で暮らせず、児童養護施設や里親家庭などで育ったことがある若者の最終学歴は、中国卒・高校卒が8割を占める一方、大学や短大、専門学校などを卒業したのは1割強にとどまることが分かった。
4月30日に厚生労働省が発表した。同省が施設などを出た後の具体的な状況を調査したのは初めて。彼らが、教育の機会を得にくいことや、苦しい暮らしぶりの実態が浮かび上がった。調査対象年齢は2020年11月時点の15歳以上で、18~24歳が9割を占めている。
退所直後の進路は、就職・就労が53.5%だったのに対し、進学・通学は36.3%だった。調査時点の状況は「働いている」が71%、「学校に通っている」が23%だった。「働いている」と答えた人に最終学歴を聞いたところ、約8割が中学・高校(全日制と定時制、通信制)卒業で、4年制大学2%、短大・専門学校は10.6%にとどまった。大学・短大などの高等教育進学率は一般的に8割以上だが、社会的養護出身者の進学率が際だって低いことが分かる。
家計については、毎月の収入と支出のバランスが同じくらいと答えたのは31.4%。支出が多く赤字と回答したのは22.9%だった。回答者のうち子どもがいる145人は4割「赤字」と回答。
調査は2015年4月~2020年3月、中学卒業以降で児童養護施設などの施設への入所や、里親委託の措置が解除された2万690人」を対象に実施。うち2,980人から回答を得た。